[DTM] SC-8850 を Windows11 で使う方法

Roland 製の MIDI 音源 SC シリーズの最終盤である SC-8850 という音源がある。それぞれのキーワードの詳細は省略して(ググるなりLLMなAIに聞くなりすれば教えてくれるはず)、この音源はもうかれこれ十数年前に発売されたどころか生産も終了してしまった古い機械であり、当然メーカーのサポートも終了しているので、最近の OS に対応したドライバなぞ出ていようはずもない。それでも Windows 10 とか 11 みたいな最近の OS で動作させたいという需要はあるはず、と思い、その使い方をここに書き記しておく。

Windows 10 では普通に動作するかも?

とはいえ、私が実際に困ったのは Windows 11 でのことである。もしかすると Windows 10 なら特に困ること無く SC-8850 が使用できるかもしれない。というのも、私が今メインで使用している PC は、以前は Windows 10 だったのだが、そのときは SC-8850 でも普通に音が出せていた記憶があるのだ。

それが、Windows 11 の正式版が出たタイミングで OS が自動アップデートされた(というか、OS ごと変わってしまった)のだが、まず SC-8850 を使う機会なんてそうそうあるものではなく、最近になってディスク整理している中で過去の MIDI ファイルが出てきたので、ちょっと再生してみたいな?などと思い、久々に SC-8850 を起動したところ、ウンともスンともいわなくなっていたのである。

これは憶測なのだけど(確定した原因ではないのだけど)きっと Windows 11 になったタイミングで音が出なくなっていたのでは?と思った次第。

ドライバの状態を確認する

まず、SC-8850 を USB 接続した状態で電源を入れると、ピコン!という音が鳴って、PC に何かが接続されたことが認識される。認識されるのだが、Windows 11 ではそれが何者なのか分からず、不明なデバイスとして扱われるようである。Windows キー + X のメニューから「デバイスマネージャ」を開いて確認すると「不明な USB デバイス」と表示されているものが、おそらく SC-8850。これを動作させるドライバを正しく見つけられない状態だと思われる。

SC-8850 の電源を切る(もしくは USB 接続を抜く)ことで、この表示も消えれば、こいつが原因ということで確定である。

ドライバを入手する

SC-8850 のメーカーサポートは終了しているものの、そのドライバはローランドのサイトからダウンロードすることができる。ただし、当然 Windows 10 や 11 のドライバなどというものはなく、最新でも Windows Vista 用のドライバになる。ただ、Windows Vista 用のドライバで Windows 10 での動作報告があるので、ここは Vista 用のドライバを使うことにする。

まず、ローランドのアーカイブダウンロードのサイトを開く。

Roland - Support - レガシー製品情報 (旧製品) - ダウンロード (N-S)
ダウンロード (N-S)

リストの中から「Roland SC-8850 Driver Ver.1.0.0 for Windows Vista 64ビット版」をクリックする。

遷移先のページから「ファイルをダウンロード」というリンクをクリックすると、ドライバがダウンロードされる…はずなのだが、ブラウザにブロックされることがあるので、その場合はリンクを右クリックして「名前を付けてリンク先を保存」を選択する。すると「安全でないダウンロードがブロックされました」という履歴が表示されるので、そこから「保存」ボタンをクリックしてダウンロードすることができる。

ダウンロードされるファイルは zip 形式なので、適当な場所に展開しておく。

ドライバのインストールを試みる

上記でダウンロードした zip ファイルを展開すると、以下のようなファイルが出てくるはず。

インストールの前に、PC に SC-8850 が接続されている場合は、一度その接続を切っておく(SC-8850 の電源を切っておく)。

まず、無邪気に Setup.exe を実行してみる。ただし、Windows 10 や 11 ではこれをそのまま実行することができないので、Shift キーを押しながら右クリックして「プロパティ」を選択し「互換性」タブを開いて、「互換モードでこのプログラムを実行する」のチェックを ON にして「Windows Vista (Service Pack 2)」を選択して「OK」を押す。

上記の後に Setup.exe を実行すると、そのドライバは既にインストールされてるよ?と表示される…ことがある(私の場合は表示された)。

この場合は、先に Uninstal.exe を実行する。こちらも同様に互換モードで実行する必要があるので、Setup.exe と同じ容量でプロパティを設定してから実行する。

アンインストール後に再起動を求められるので、OS を再起動する。これで既にインストール済みと判断されているドライバがアンインストールされる。

上記の後、再度 Setup.exe を実行する。そのまま画面の指示に従ってインストールを進めれば、いったん正常にインストールは完了する(はず)。

これで SC-8850 を接続して起動すれば、うまいこと認識されて動作されるのではないかと思う。

ただ、Windows 11 の場合、おそらくこれでは正しく認識してくれないことがある。少なくとも私の環境ではダメであった。デバイスマネージャで確認してみると、サウンドドライバということは認識してくれているようだが、やはり「不明なデバイス」扱いだった。

この状態になってしまった場合は、次の手順を試すと上手くいく可能性がある。

INFファイルからドライバをインストールする

Setup.exe が上手くないのであれば、使わなければ良い。おそらく Setup.exe の処理に何か足りない手順があるのだと思うが、正確な原因は不明。そもそも Windows Vista 向けのインストーラなので、互換モードで無理やり動作させたとて、処理が何か不十分なのだろう(?)ということで、Setup.exe を使わず、INF ファイルからインストールする手順について、以下に記しておく。

まずは「不明なデバイス」と認識されているものをアンインストールする。なお、アンインストールの前に、SC-8850 の接続は切っておくこと。アンインストールは、Uninstal.exe を実行すれば良い。互換モードは前の手順で設定済みのはずなので、そのまま実行すればアンインストールできるはず。前の手順同様、アンインストール後に再起動を求められるので、OS を再起動する。

しかる後に、アーカイブを展開したファイルの中から「RDIF1001.INF」というファイルを見つける。

そのファイルを右クリックすると「インストール」というメニューが表示されるので、これをクリックする。

すると、秒の速さで「この操作を正しく終了しました」となるはず。

これで SC-8850 を接続して電源を入れてみる。すると、デバイスマネージャに「Roland SC-8850」というのが表示されるはず。これで動作するようになっているはず!

適当な MIDI プレイヤーで鳴らしてみる

これで SC-8850 から音が出るようになったか確認する。MIDI ファイルを開いて再生できるソフトなら何でも良いが、昔から私が愛用しているのは TMIDI Player というソフトなので、それで確認する方法を以下に書いておく。

まず、TMIDI Player を以下のページからダウンロードする。

ふみぃのソフトウェア工房

インストールして、TMIDI Player を起動したら「オプション」→「MIDI設定」を開いて、「ポートA」に「Roland SC-8850 PART A」を選択して「OK」を押す。

これで適当な MIDI ファイルを開いて演奏してみる。音が出るようになっていれば問題解決!

音が出ない場合に確認すること

ドライバは正常にインストールされたはずなのに音が出ない、という場合は、以下を疑ってみる。

まず、SC-8850 のインジケータ(液晶の表示)に何も動きがない場合、プレイヤーに設定するポートが間違っている可能性が高い。上記では TMIDI Player の例を書いたが、それ以外のソフトを使っている場合、お使いのプレイヤーの設定方法が正しいかどうか、その使用方法から確認すると良い。ちなみに、SC-8850 には「Roland SC-8850 MIDI OUT 1」及び「Roland SC-8850 MIDI OUT 2」というポートがあるが、これは MIDI インターフェース用の設定になるので、USB 接続の場合は「Roland SC-8850 PART A」から「Roland SC-8850 PART D」のいずれかを設定する必要がある。

SC-8850 のインジケータは動いているのに音が出ない、という場合は、オーディオの接続や設定の問題だと思う。SC-8850 の出力は RCA とヘッドホンの2系統があり、その両方から出力される。これらを PC のオーディオ入力に戻して PC から音を出している場合は、SC-8850 の出力に直接スピーカーやヘッドホンを接続して確認してみる。ヘッドホン端子にヘッドホンをつないで聴いてみるのが一番手っ取り早いかと。これで音が出ている場合は SC-8850 の問題ではなく、PC のオーディオ設定の問題である。

上記のいずれでもない場合、ふつうに SC-8850 が壊れているだけかもしれない。その場合は……まぁ諦めるしか。最早メーカー修理も受け付けてない(と思われる)機種なので、あとはメカに自信がある方であればバラして修理を試みるか。運が良ければ、どこかの接触不良か断線だけのことかもしれない。それが叶わないとなれば、再入手を考えるか。幸いに、というか SC-8850 はメルカリやヤフオクなどで数千円程度で出品されていたりすることもあるので、そういうのを見つけて入手するのも良いかもしれない(ちなみに、SC-8850 発売当初の定価は 99,800円である)。とはいえ、いまどきソフト音源の方が高品質かつ安価だったりもするので、あえて SC シリーズの音を懐古したいということでもない限り、そこまでする理由もないのかな。

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